貞山運河

▼貞山運河(仙台空港付近、2020年2月4日撮影))

宮城県仙台市の東、仙台湾沿いに貞山運河があります。これは、松島湾と阿武隈川河口を結ぶ延長32.5kmの運河で、江戸期から明治初期にかけて整備されました。
また、松島湾から北に東名運河(松島湾〜鳴瀬川河口3.2km)および北上運河(鳴瀬川河口〜旧北上川石井閘門12.8km)があり、貞山運河と併せて仙台湾沿いに延長49kmの運河が形成されています。

これらの運河は、いずれも海岸から僅かに内陸部を海岸と並行に整備されています。通常、運河は、水運が利用できない内陸部に向かって整備されるもので、沿岸海運が利用できる海岸にあえて運河を整備するのは不思議なことですが、これは明治初期までのわが国の河川交通を反映したものです。

すなわち、吃水の浅い平底の河船は波の高い外洋は運航できません。そのため、河口で外洋船への積み替えが必要となりますが、これは時間も費用も要します。

阿武隈川〜貞山運河〜名取川〜広瀬川により、福島市他の阿武隈水系諸地域と仙台市間で、外洋を経ずに河船による一貫輸送が可能になります。また、北上川〜北上運河〜東名運河〜貞山運河〜名取川〜広瀬河により、遠く盛岡市・北上市を含む北上水系の諸地域と仙台市が河船で結ばれました。

近代以降、欧州諸国と異なり、わが国では河川・運河を使った内陸水運は発達しませんでしたが、貞山運河は、江戸期から明治初期にかけて、わが国でも内陸水運が活発に利用されていたことを示すものとして、交通史上大きな価値があるといえます。(2020年8月)


■海岸線と並行する貞山運河

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