ラインゴルトのドームカー

▼ラインゴルトのドームカー(Lueneburg駅他、2018年8月撮影)


ドイツの特急列車ラインゴルトRheingold号は、1928年運転開始のドイツを代表する特急列車でした。常に最新車両が投入されドイツ帝国鉄道(→連邦鉄道)のフラッグシップで、わが国でいえば往年の燕(→つばめ)号でしょうか。オランダからライン川沿いにドイツ南部およびスイスを結ぶことから、中世ドイツの叙事詩「ニーベルンゲンの歌」に詠われたライン川の財宝に由来した名称です。

さて1962年、ラインゴルト号に2階建てで2階部分が総ガラスの新しい展望車(通称ドームカー)が連結されました。この種のドームカーは米国の鉄道には見られましたが、欧州では定期列車用としてはほぼ唯一のものです。これは、ローレライなどライン川の景勝地を通過することから導入されました。

しかし1976年、ドームカーは200km/h運転に対応できないため連結中止になりました。そしてラインゴルト号自体も、特急列車の等時隔化・ネットワーク整備の流れのなかで、系統分割・名称廃止となり、1987年に消滅しました。

ドームカーはその後海外に売却される等一時霧散しましたが、現在は当時のラインゴルト号の他の車両と一緒にドイツの旅行会社AKE-Eisenbahntouristikの所有となり、観光列車として使用されています。月に数回、同列車を使用した日帰りから数日のツアーが開催され、個人でもAKE社のウエッブサイトで参加申込ができます。

再びわが国に例えれば、クロ151を含む151系特急電車1編成が現在でも動態保存されていて、誰でも乗車できるような状況でしょうか。

乗車してみると、お客さんはいわゆる「鉄ちゃん」ではなく、リタイアしたご夫婦がほとんどでした。列車の設定も、観光地への往復交通手段としての位置づけです。このように、歴史的車両を使用しながら広く集客を図り営利事業として成り立たせる仕組みは、非常に興味深く感じました。

AKE社のウエッブサイト(ドイツ語)



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