バーゼルの無動力渡し船

▼バーゼルの無動力渡し船
(2018年8月撮影)
▼船の進行方向を変える「逆転器」
(2018年8月撮影)


スイスのバーゼル市内を流れるライン川に、いくつかの渡し船が運航されています。このうち、バーゼル大聖堂Münster下から対岸に渡る” Münsterfähre Leu”に乗りました。この渡し船は、1854年に運航開始しましたが、人力を含めたいっさいの動力を使用していません。動力無しで動く仕組みは下記のとおりです。
川の両岸を結んでケーブルが張られています。このケーブルから滑車を介してロープが船に繋がっており、ロープは舳先よりわずかに後方で船に結ばれ、ロープの位置はレバー操作で船の右舷・左舷に切り替えられるようになっています。ロープを船の右舷に置けば、川の流れによって、船はケーブルの下流側で舳先をやや左に向けた状態で浮かぶことになります。このとき、船の右舷に水流を受けるため、左向きの推進力が生まれます。これによって、船は左向きに動いていきます。対岸を着けば、ロープの位置を船の左舷に切り替えることで右向きの推進力が生じ、戻ってくることができます。
わが国でも、同様の原理で動く渡し船(岡田式渡船)は、かつて揖斐川などいくつかの地域でみられましたが、現存しません。
船が舳先を先頭とせず、ロープ1本で繋がれて、横向きにふらふらと動いて行くのは頼りない気もしますが、まったく人為的な動力を使用せず、川の流れによって動くたいへんエコな乗り物といえます。もっとも、動力を持たないだけに、万一ロープが切れればオランダまで流されていくのかなと、少々不安な気持ちで乗っていました。(2018年9月)



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