カッセルの多過ぎるレール

▼カッセルの路面電車のニーダーカウフンゲン・ミッテ停留所(2018年8月撮影)


ドイツ、カッセルKassel市の路面電車4系統のニーダーカウフンゲン・ミッテNiederkaufungen Mitte停留所は単線の停留所ですが、なぜかレールが6本もあります。当然のことながら通常ではレールは左右2本で、4本多過ぎます。
2006年、4系統がカッセル市の南西約25kmに位置するヘッシシュ・リヒテナウHessisch Lichtenauまで延伸されました。このとき、整備費用節減のため、途中区間はドイツ鉄道の既存貨物線に乗り入れることになりました。ドイツ鉄道もカッセルの路面電車も軌間は標準軌(1,435mm)で同じですが、車幅が異なります。本線の貨物列車に比べて路面電車は細身で、路面電車に合わせてプラットホームを作れば貨車が接触します。一方、貨車に合わせれば、路面電車とプラットホームの間に30cm程度の隙間ができてベビーカーや車イスが乗車できません。このため、プラットホームは貨車に合わせて整備し、駅の手前で分岐器(ポイント)を設置して、路面電車と貨物列車の走行線路を分け、路面電車をプラットホーム側に寄せることにしました。欧州の路面電車の多くは、バスと同じで片側にしか扉がなく、運転台も1方向のみで、終点ではループ線で方向転換します。このため、単線の駅でも上り下りそれぞれプラットホームが必要で、結果として分岐器も上下線用に2組設置し、6本のレールが生まれました。
一般的には、車両とプラットホームの間に隙間ができる場合、車両側でステップを出す等の対応する方が簡単と思われますが、カッセルの場合、特殊な車両の導入を嫌って既存技術で対応きる地上側の設備改良を選択したのでしょうか。
いずれにしても、ほぼ等間隔で6本のレールが並ぶ様子は、思わず笑ってしまうような不思議な光景でした。(2018年9月)



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