鉄道車両における蓄電池の可能性

▼JR九州の蓄電池車
(若松駅,2017年4月撮影)
▼JR東日本のハイブリッド車
(石巻駅,2015年7月撮影)


近年、駆動系に蓄電池を使用する鉄道車両が現れてきました。そのひとつはハイブリット車で、ディーゼルエンジンで発電機を回し発生した電力で電動機を駆動しますが、大容量の蓄電池を搭載し、制動時の運動エネルギーを電力に回生して蓄え、加速時等に使用します。すなわち、自動車のシリーズハイブリットカーと同じ仕組みで、JR東日本の仙石線や小海線などで導入されています。いまひとつは蓄電池車で、電化された本線走行中にパンタグラフから電力を取り入れ、電動機を駆動するとともに、大容量の蓄電池に充電します。未電化の支線に入ってからは、パンタグラフは折りたたみ、蓄電池の電力のみで走行します。自動車に準えれば電気自動車です。制動時の運動エネルギーを電力に回生して蓄えるのはハイブリット車と同じで、JR九州の筑豊本線やJR東日本の烏山線、男鹿線で導入されています。
もっとも、鉄道車両での蓄電池使用は1世紀近い歴史があります。しかし、工場内の入れ替えや特殊な産業鉄道など限られ、一般的・汎用的な駆動システムではありませんでした。上記のハイブリット車も蓄電池車も、仕組みとしてはシンプルで何ら新しい技術ではありませんが、重量の大きな鉛電池等では実現不可能でした。これが、大容量リチウムイオン電池の開発により、実現可能となったわけです。
東京地下鉄(東京メトロ)の新しい電車は、非常用に停電時でも次駅まで走行可能な程度の小容量の蓄電池を搭載しています。
今後、全固体電池等さらに軽量・大容量・低価格の蓄電池が普及すれば、例えば駅の複雑な分岐部の架線を省略する、架線高さに対応しない古いトンネル区間を除いて電化するなど、地上の電力インフラを含む鉄道システムの効率化に大きく寄与するものと思われます。(2018年4月)



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