ニューポート運搬橋

▼ニューポートの運搬橋(2017年8月撮影)


イギリス、ウエールズのブリストル海峡を臨むニューポートNewport市に、運搬橋Transporter Bridgeと呼ばれるわが国では見られない交通機関があります。これはアスクUsk川の河口部にかかる全長197mの橋梁で、1906年に整備されました。さて、通常の橋梁では当然のことながら橋げたの上に道路や鉄道が敷設されますが、運搬橋では橋げたの上には何もなく、橋げたからゴンドラが吊下げられています。ゴンドラは地上レベルに設置され、これが橋げた上のモーターに駆動されて両岸を往復することで人や車両を輸送します。したがって橋梁というよりは、ロープウェイに近い乗り物といえるでしょう。
今から1世紀前、ニューポート港の中心部は運搬橋の位置より上流にありました。このため、マストの高い外航船の運航を支障しないよう、架橋にあたってはクリアランスを大きく取る必要がありました。実際、運搬橋の橋げたの最高部から水面までは74mあります。このような高高度の橋梁では、車両(当時は馬車)が通過するためには長大なアプローチが必要となります。また、同地は地形上干満差が大きく、干潮時には渡船の運航が困難でした。このため、車両や人を高高度まで上げる必要がなく、かつ24時間運用できる運搬橋が整備されました。
ただし、運搬橋は大規模なインフラに比較して輸送力は小さく、効率の良い交通機関には見えません。このため、運搬橋はあまり普及せず、現在でも稼働しているのはニューポートを含めて世界で6機となっています。
ニューポートの運搬橋も、クルマや人、自転車を運んでいるものの、現在では上流に通常の道路橋が架橋され、産業遺産として観光施設の意味合いが強いように思われます。
ゴンドラはずいぶん高いところから吊下げられているにもかかわらず、たくさんのロープで固定されているせいか、ほとんど揺れないのは意外でした。(2017年9月)



トップページ

研究分野

研究業績

フィールドワーク

山本雄吾ゼミナール

コラム

 

Contact

〒468-8502

名古屋市天白区塩釜口1-501

名城大学経済学部産業社会学科

山本雄吾研究室

 

Yugo Yamamoto’s Office

Faculty of Economics,

Meijo University

1-501, Shiogamaguchi, Tempaku,

Nagoya 468-8502, JAPAN 名城大学経済学部