豊後森駅のバス乗り場

▼豊後森駅ロータリー内の
共通バス乗り場および待合室
▼豊後森駅前県道上のバス乗り場


大分県のJR久大本線豊後森駅は、九重連山の登山や温泉を目指す観光客の拠点駅ですが、近年、駅に隣接する旧豊後森機関庫の扇型庫と転車台が近代化産業遺産に登録されたことから、産業観光でも注目されています。
さて豊後森駅には、玖珠観光バスおよび日田バス(いずれも乗合バス)のほか、玖珠町および九重町のコミュニティバス・福祉バスが乗り入れています。この結果、従来、バス乗り場は事業主体ごとに分散し、外来客にはわかりにくい状況でした。わが国では歴史的にバス乗り場は各バス事業者が設置してきた経緯から、バス事業者は乗り場の統一等共同化には消極的で、豊後森駅のような事例は他所でも多くみられます。
しかし平成26年10月、豊後森駅ロータリー内の玖珠観光バスの乗り場・待合所を、日田バスおよび玖珠町まちなか循環バスも共同利用することになりました。これは、玖珠町および玖珠観光バスの強いリーダーシップにより、従来の慣行を超えて、利用者利便の向上のために実現したものです。
ところが、玖珠町ふれあい福祉バスおよび九重町コミュニティバスはこの共通乗り場・待合所を使用せず、従来どおり駅前県道上の待合室も上屋もないバス乗り場を使用しています。当初はこれらのバスについても乗り場を共通化する方針でした。しかし、玖珠町ふれあい福祉バスおよび九重町コミュニティバスは乗合バス(道路運送法第4条)ではなく、自家用有償旅客運送(道路運送法第79条)*です。このため、これらのバスは、利用者にとってはバス以外の何物でもありませんが、道路運送法上は自家用車両となるため、自家用車両のバス停留所での駐停車を禁じる道路交通法第44条の規定により、共通乗り場への乗り入れが不可能でした。
県道上で乗降扱いをするよりも駅前ロータリー内の共通乗り場で乗降扱いを行った方が道路安全の向上および渋滞緩和に効果的で、また利用者利便にも適います。しかしながら上記の法律が壁となり、豊後森駅バス乗り場の完全共通化は実現していません。関係各所の柔軟な対応が望まれるところです。

*自家用自動車の有償運送は原則禁止ですが、公共の福祉を確保するためやむをえない場合で国土交通大臣の許可を受けたときに限り、これが認められます。玖珠町ふれあい福祉バスおよび九重町コミュニティバスは、自家用有償旅客運送のなかでも、過疎地域などで乗合バス事業によっては住民の生活の足を確保することが困難な場合に市町村が専らその区域内で住民の生活交通を確保するため自ら行う輸送(市町村運営有償運送)に該当します。(2015年12月)

▼豊後森駅共通バス乗り場に乗り入れた九重町コミュニティバス(大分交通(株)提供)


追記

平成30年10月1日、九重町コミュニティバスの豊後森駅共通バス乗り場への乗り入れが実現しました。これは、平成30年3月7日国土交通省総合政策局事務連絡「「道路運送法施行規則に定められた地域公共交通会議又は運営協議会で認められた一定の停留所における駐(停)車可の交通規制に係る取扱いについて」等の周知について」に基づき、白ナンバーの自家用有償旅客運送であっても、一定の条件の下で、道路交通法に基づく停車又は駐車を禁止する場所(ここでは乗合バス停留所)の特例が認められるようになったことによるものです。今後、全国で同様の乗合バスとコミュニティバスの結節改良が進むことが期待されます。(2018年10月)



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