ヴィースバーデンの重力式ケーブルカー

▼ネロベルクバーン(2014年9月撮影)

ドイツ・フランクフルト近くのヴィースバーデンWiesbadenに電力等のエネルギーを使用しないケーブルカー(ネロベルクバーンNerobergbahn)があります。動力源は「水」。客車には7千リットルの容量の水タンクが装備され、山頂の車両の水タンクに水を満たすことで、重くなった車両が線路を下降し同時につるべ状に繋がった山麓の車両を引っ張り上げる仕組みです。山麓に降りてきた車両は水を排出し軽くなって、今度は山頂に引っ張り上げられていきます。9月の未だ暑い日、山麓の車両が水を排出する音は涼やかでした。
ネロベルクバーンは1888年の開業で、当時このような重力式ケーブルカーは欧州にいくつか見られましたが、現在まで存続しているのはごく僅かです。
電力等のエネルギーを使用しないネロベルクバーンは一見、究極のエコ交通システムですが、じつは山麓で排出された水は電動ポンプで山頂の貯水池に戻されます。水量豊富な渓流沿いならこのような水の再利用は必要ありませんが、ネロベルクバーンは丘陵地に設置され山上に水源はありません。そのため、水は循環使用されています。
通常のケーブルカーで、つるべ状に繋がった重量差のほとんどない2つの客車を動かすエネルギーの方が、水を山上まで電動ポンプで上げるエネルギーよりも少ないように思えます。したがって、ネロベルクバーンがエコ交通システムかどうかは疑問のあるところですが、ユニークな産業遺産としてヴィースバーデンの観光資源のひとつになっています。(2015年2月)

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