ヴッパータールのモノレール

▼Wuppertal(2012年9月撮影)

ドイツ・ルール地方、ヴッパータールWuppertal市に営業用公共交通としては世界最古の懸垂式モノレール(シュヴェーベバーンSchwebebahn)があります。車両はわが国の千葉都市モノレールや湘南モノレールなど同種の懸垂式モノレールに比べてふたまわりほど小さく、遊園地の乗り物のようですが、高頻度運転で一定の輸送力を有し、路線延長は13.3kmと長く、トラムや地下鉄のない同市では基幹的公共交通の役割を担っています。
シュヴェーベバーンは1901年に開業しました。ヴッパータール市は文字通りヴッパー川の谷間(タール)に市街が広がり、十分な平地がなく、トラムの整備は困難でした。このため、ヴッパー川の上部空間(一部は既存道路上)を利用した懸垂式モノレールが導入されました。
懸垂式モノレールは、跨座式モノレールに比べて軌道構造物が大規模になり、都市景観上、大きな存在感があります。シュヴェーベバーンも、ヴッパー川の両岸から斜めに立ち上がる鉄の支持桁や、道路上のラーメン構造の軌道からは、かなりの圧迫感を感じます。伝統的な石造り風の建物の連なる街並みと調和しているとは思われず、現在なら、景観破壊による建設反対運動が起こるのではと心配しました。
もっとも、これは現代的な発想で、往時の製鉄業の中心地・ルール工業地帯に位置するヴッパータール市にとっては、大規模な鉄の構造物や最先端の電気式交通機関は、進歩・発展の象徴以外の何物でもなかったのかもしれません。
鉄の構造物は、今となってはレトロな趣も感じられなくもなく、ヴッパータール市のユニークな都市景観を形作っていることは確かなようです。(2014年9月)

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